大学1年生のゴールデンウィークに初めて行った浄土ヶ浜。 天気が良く、海が煌めいていたのを覚えています。 その日から早5年、久しぶりに行ってきました。 7時40分 盛岡発の岩手県北バスに乗って宮古駅へ向かう予定でしたが、目覚ましをかけていたのにもかかわらず寝坊をしてしまいました。 なので、次の9時40分発のバスに乗って出発。 11時20分頃には無事到着できました。
天候は曇り、気温は23度ほど。 北国といえど、もう上着を着る人はいません。 浄土ヶ浜に向かうバスが来るまで駅周辺をぶらぶら。 宮古駅には三陸鉄道が停車していました。 最近は連続テレビ小説あまちゃんが10周年記念で再放送されていることもあって、三鉄を見ると杉本哲太さんの顔を思い出します。 あまちゃんってもう10年前なんですね。 アキちゃん役ののんさんが30歳になったと聞いて衝撃を受けました。
11時40分 シートピアなあど経由奥浄土ヶ浜行きのバスが駅前に到着したので、いざ浄土ヶ浜へ。 15分ほど乗って浄土ヶ浜ビジターセンターで降車しました。 多くの乗客はシートピアなあどで降りていました。 おそらく遊覧船に乗って浄土ヶ浜へ向かったのかなと思います。 今回は遊覧船出発まで時間があったので、帰りに乗ることにしました。 前回浄土ヶ浜に行った時は浜しか見なかったので、周りの施設は完全初見です。 浄土ヶ浜ビジターセンターは入場無料で、3階はバス停・駐車場からの出入口、2階は三陸の自然・文化・災害にまつわる簡単な資料館、1階は浄土ヶ浜周辺で見られる野生動物の紹介コーナー、地下1階は浄土ヶ浜に向かう道に出れる形となっていました。
館内はとても綺麗で、休憩もできる良い施設でした。 周辺のマップも貰えるので最初に訪れることをお勧めします。 ゆっくり館内を見学し、地下1階から外に出て浄土ヶ浜を目指します。
外を出てすぐにウミネコの鳴く声が聞こえてきました。 海だ。 三陸自体訪れるのが久しぶりだったので、このさざなみの音とウミネコの声を聞いた瞬間「三陸に来たんだ...!」と気分が一気に高揚しました。 やっぱり好きです、三陸。 首に下げていたカメラの電源をつけて写真を何枚かパシャパシャ、天気は良いとは言えないけれど私にとっては十分すぎる景色でした。 ビジターセンターから歩いて数分で青の洞窟へ行けるさっぱ船乗り場に着きます。 付近に階段があり、そこを登ると第1駐車場と御台場展望台への分かれ道が。 御台場展望台から良い景色が見れると聞いたので、そちらに向かいました。
ちょっとした山になっているので、さっきまでの道と異なってだいぶ自然豊かです。 まだ春の時期なので大丈夫でしたが、暑くなると虫が凄そうなので虫除けを塗布してから行く方が良いかもしれません。
2〜3分で御台場展望台に到着しました。 簡単に行ける場所にもかかわらず、観光客は誰もいませんでした。 とてももったいないように思います。
ここからの景色は本当に良かったです。 浄土ヶ浜というと浜から見る景色が全てだと思っていましたが、こういう見方もあるとは。 もう一つの楽しみ方を知りました。
浄土ヶ浜って上から見るとステゴザウルスが海水浴しているような形なんだな、なんてぼんやり。 5年前にも来たはずなのに、見る角度が違うだけで初めて訪れたような感覚でした。 これを一人独占して見れているのもまた良かったので、上から私が覗いているのに気づかず歩いている人達を見て、何か勝った気分でした。 さて、そろそろ下って浜に向かいます。 コンクリートの道を歩きつつ景色を堪能。
海を覗くと、海水が透き通っていて海底が見えました。 天気が良いとこれに加えて海が青く見えます。 青い海は沖縄など南の地域特有だと思っていた大学1年生の頃が懐かしいです。
そうして浄土ヶ浜にようやく到着しました。 前回はゴールデンウィークに行ったこともあって人が多かったのですが、今回は平日に行ったので観光客もそこまでいませんでした。 それにしてもやはりでかい岩。 岩手県内は割と大きな岩が至るところに転がっていますが、ここは格別でかい。 そして浜全体が真っ白なので、さっきまで歩いていたコンクリートの道より明るく見えます。 天気が良いとサングラスが必要なくらい眩しいです。
この浜の良いところは、浜に踏み入った時の足元の音です。 カラカラカラ と、涼やかな音がします。 なんなら涼やかを通り越して高貴な音に感じられます。 石というよりも、陶磁器の破片の上を歩いているかのようにカラカラと高い音が鳴るのです。 これがとても心地良く、波の音とウミネコの声と相まって浄土ヶ浜特有の音楽になっていました。 かつて僧侶がこの浜で「さながら浄土のごとし」と呟いたことから浄土ヶ浜と名付けられたそうですが、海も岩も浜も、匂いも音も感触も、総じて浄土のようなのだとかつての僧侶と心通わせ思いました。
ウミネコも海の上を飛んだり、岩場で休んだり。 浜では観光客の方がカッパえびせんをあげてました。 ウミネコって可愛いですよね。 私もあげれば良かったと今更ながら後悔しています。 浜にはレストハウスが併設されています。 ウミネコ用のカッパえびせんもここで売っていました。 また、建物の壁には震災時の浸水域の印が記されています。 大体5m弱くらいでしょうか。 震源地から離れているのにも関わらず2階天井まで浸かるというのは津波の脅威を感じざるを得ません。
この時点で13時前だったので、そろそろ昼食をとりたいと思います。 レストハウスの1階にある食事処で三陸名物名物「瓶ドン」を選びました。 中身はいくら、めかぶ、鱈などが入っていました。 恐らく季節によって鱈の部分が変わるようになっているのだと思われます。 瓶ドンは宮古市内でもお店によって瓶の中身が変わるので、瓶ドン巡りをいつかしてみたいです。 お腹が保てば、ですが。
食べ方としては、牛乳瓶に入った海鮮を丼の上にかけて半分食べます。 残りの半分は添えてある出汁でお茶漬けにして食べる、といった感じです。 海鮮はすでに味付けがされていて、ガツガツ白米が食べれました。 新鮮味もあって、見栄えもして、添え物も充実している瓶ドン定食。 大変満足でした。
窓側の席が取れればこのような景色が見れます。 最高ですね。 お昼の時間を避けて昼食を取ったので良い席で食べれました。 昼食後、レストハウスの屋上に展望施設が設けられていたので登ってみました。 タイミングよく遊覧船も見えました。 ここもここで良い景色です。 御台場展望台とも違う浄土ヶ浜の顔でした。 もしかしたら震災当時レストハウスの屋上で津波を見た人がいたかもしれませんね。 普段の浄土ヶ浜は波が穏やかで静かな海岸。 穏やかな海を穏やかな心で望めている今に感謝しかありません。
だいぶ浄土ヶ浜を堪能しました。 そろそろ宮古駅に向かおうと思います。 帰りは遊覧船うみねこ号に乗って浄土ヶ浜からシートピアなあどがある出崎埠頭まで出て、バスで駅まで行きます。 浜から徒歩5分ほどで遊覧船乗り場に到着。 浜には観光客がほとんどいませんでしたが、遊覧船にはツアー客とタイミングが被って満員でした。
浄土ヶ浜の遊覧船は昨年運行を再開したばかり。 船は綺麗で、デザインもおしゃれな可愛らしい船体でした。 船は2階造りで、私は1階の端っこに陣取りカメラの準備。 よく見ると船乗り場の側面にはフジツボ以外にもヒトデやウニでびっしり覆われていました。 いかに宮古の海が豊かかが伺えます。 ちょっと感動。 さて、そんなこんなで遊覧船は出発。
船内ではうみねこパンが販売されており、それをウミネコにあげるのが遊覧船の定番です。 だいぶ群がります。 私もやろうと思いましたが、どこで売っているのか分からず諦めました。 2階の方が買いやすいのかもしれません。 今回私が乗ったのは30分の片道コースで、他に60分の往復コースがあります。 それぞれ乗船時間が違うので事前調べをしておいた方が良いかと思われます。 その日の波の高さによって出航できる時間できない時間があったりするので、それも調べた方が良さそうです。 船は意外にも速度が出ていて、なかなか揺れました。 途中途中に見所があり、青の洞窟も目の前を通ってくれます。 その他の見所はぜひ実際に乗って確認してみてください。 夏なんかは気持ちいいかもしれませんね。
何も問題なく無事に出崎埠頭に到着。 シートピアなあどで少し休憩しつつ、すぐにバスに乗車し宮古駅へ向かいました。 この時点でまだ15時半。 もう少し宮古で遊び倒したいところですが、この日は夕方から雨予報。 朝寝坊して焦っていた結果、折り畳み傘を忘れてしまったこともあって、早いですが帰りのバスに乗り込みました。 15時45分発 盛岡駅行きの岩手県北バス。 わずかな時間でしたが良い時を過ごせました。 さらば宮古。
あとがき 私は元々海に行くことが嫌いでした。 私の中の海というと湘南。 夏になると浜は人でいっぱいになって、一部の人はナンパをしていて、一部の家族は喧嘩をしていて、海の家では酔って文句を言っている大人が一定数いるあの空間が好きではありませんでした。 両親も最終的に疲れて怒りっぽくなるのがとても嫌でした。 そんな私の海に対する価値観を大きく変えたのが三陸の海でした。 波は穏やかで、海岸は静かで客も少なくて、海は綺麗で、地元の人が優しい。 私の知っている海ではなかったのがとても嬉しかった。 これから先も何度も三陸に行き、幼い頃の海に対する負の感情を上書きして、いつしか海というと三陸の風景を思い浮かべる日が来るのだろうと思うのです。